文部科学省科学技術人材育成費補助事業ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)(平成27年度~令和2年度)富山大学 事業報告書
14/100

2. 富山大学の概要と目標達成度1. 機関の概要 本学は令和2年度現在9学部(11部局)を備える総合大学(総学生数 9,046名、総教員数 840名)であるが、特に理工系の学部においては、女子学生数が少なく、加えて女性教員数が極めて少ない特徴的な構造である。平成20年度に採択された文部科学省「女性研究者支援モデル育成事業」の『富山循環型女性研究者育成システムの構築』の実施に際しては、①意識改革、②人的資源の循環と女性研究者の裾野の拡大、③女性研究者の研究推進のための教育・研究環境の整備の3項目を骨子とした取組を展開した。これらの環境整備や研究費の支援を行った結果、平成17年度の大学統合時128名だった女性教員は、事業最終年度の平成22年度に155名に増加し(女性教員比率17.2%)、平成26年度には161名(同17.9%)と順調に増加した。さらに本事業が採択された平成27年度も人件費削減で教員数が減少する中でも155名(17.8%)と割合は維持し、その後も18%前後を維持しており、令和2年度には167名(19.9%)と、女性教員数も割合も順調に増加している。また、平成25年度には初めて部局長10名中2名が女性教員、平成27年度には理事・副学長6名中1名が女性教員となり、執行部役員、副学長および部局長に占める女性比率も10.5%と増加した。 また女性教員採用数は平成27年~令和元年までは年間11~13名(20%程度)であったが、令和2年度は25名(32.9%)と倍増した。女性教員昇任比率も近年の昇任人事が困難な中において、年度差はあるものの令和2年度は本事業期間において最高の23.1%(13人中3人)となった。2. 目標達成度 (1) プロジェクト1 : 意識を変える(国際型女性研究者の育成)   ① 目標 : 女性研究者のための短期海外留学支援システム構築    達成度 : 短期海外留学支援システムを構築し、留学期間についても女性教員のニーズを十     分に把握し、2週間から最長1年までと柔軟に対応した。このように短期留学を推進することに     よって、平成27年度4名、平成28年度3名、平成29年度7名、平成30年度3名、令和元年     度1名の合計18名が留学した。なお令和元年度は新型コロナウイルスの影響により1名が渡     航を中止し、令和2年度は本事業の募集を中止せざるを得なかったが、女性研究者の挑戦意     欲を 大いに引き出すことができた。   ② 目標 : 学生が国際型女性研究者たちからプロフェッショナル意識を学ぶ部局縦断ミーティン     グの実施や対話型ランチミーティングを各部局で開催し、学生と国際型女性研究者の交流を     図る。    達成度 : 平成28年度には全10部局で部局縦断ミーティング「Smart Café」を開催し、留学     経験を学生等に伝えることによって人材育成の循環を生み出すことができ当初の目標を達成     した。平成29年度以降も「Smart Café」は各部局で定期的に開催されるようになり、女性研     究者および学生双方の意識改革も進み、人材育成効果と成果が認識されるようになった。10

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る