文部科学省科学技術人材育成費補助事業ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)(平成27年度~令和2年度)富山大学 事業報告書
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《講演要旨》特別講演「女性研究者支援からダイバーシティ・マネジメントへ」山村康子氏 (国立研究開発法人科学技術振興機構 プログラム主管) 2006(平成18)年度にダイバーシティ研究環境実現イニシアティブの前身事業である女性研究者研究活動支援事業がスタートして、今年度で15年目を迎えます。女性研究者の状況がこの15年でどのように変遷し、今後どのようなことが期待されているか、ご紹介したいと思います。1. 女性の活躍推進に向けた国の取組 女性の活躍推進に向けた法律を振り返ると、まず1986(昭和61)年に男女雇用機会均等法が施行されました。これを機に日本では女性の活躍促進が本格的に推進されることになります。その後、1992(平成4)年に育児休業法、1995年には育児・介護休業法、そして2003年には次世代育成支援対策推進法が次々と策定されました。2003年には、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標を政府として掲げました。今年度は2020年度ですが、管理的職業従事者の女性割合はこの半分ぐらいの数値しか達成できていません。そして2016年には、女性活躍推進法が施行されています。 女性研究者の活躍促進の取り組みは、2006年から本格的に始まっています。内閣府の2005年版の男女共同参画白書の資料によると、日本の女性研究者割合は当時11.6%で、OECD諸国の中で最下位という状況でした。さらに、大学教員の女性割合は、理学、工学、農学の分野で非常に低く、工学、農学分野の女性教授割合は1%台という状況でした。 このような状況を踏まえて、2006年度に第3期科学技術基本計画が策定され、自然科学系の女性研究者の採用目標が全体で25%、理学系20%、工学系15%、農学系30%、保健系30%と具体的に掲げられました。2. 文部科学省等の取組 近年、国内の女性研究者を増加させようという流れができ、文部科学省等様々な省庁で取組が進められています。女性研究者の採用促進はもちろんですが、一方、離職の抑制も進めていかないと女性研究者の数は増加しません。 採用促進策としてはポジティブ・アクション、人事管理システムや選考システムの改革、次世代育成といったものがあります。離職抑制策としては、女性研究者を取り巻く研究環境の整備、男女ともの意識改革、さらには業績に見合った上位職登用といったものがあります。 具体的に文部科学省が進めた事業は、女性研究者研究活動支援事業が2006年度から11年間進められ、研究環境整備が進められました。次にスタートした事業が理学、工学、農学系分野に特化した、積極的に女性研究者を採用・養成するシステム構築を目指す女性研究者養成システム改革加速事業です。これら二つの事業は既に終了しており、現在進められている事業は2015年度から開始されたダイバーシティ研究環境実現イニシアティブです。この事業では、女性研究者の研究力を強化し、上位職への登用を図ることが大きな目標となっています。また、復帰支援や次世代育成も進めています。21Ⅰ 国際型女性研究者育成プログラムⅡ 3つのプロジェクトⅢ 取組みの成果と今後の課題Ⅵ 資 料国立大学法人富山大学 事業報告書(平成27年度~令和2年度)ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)

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