7/21 第3回のびのびシネマを開催

開催日時:2023年7月21日(金) 12:30-14:00
会場:五福キャンパス 人文学部棟3階 第6講義室
参加者:8名

 令和5年度第3回「のびのびシネマ」を人文学部 須永 修枝先生の主催(当センター共催)で開催しました。これはSDGsをテーマとした映画鑑賞と意見交換会を行うことにより、現代社会が抱える問題をわがこととして捉え、多様な意見に触れながら自らの考えを深化させることを目的としたものです。
今回の上映作品は「ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇」です。世界有数の水産大国であるタイには、人身売買業者に騙され拉致されるなどしてインドネシア沖の漁船で奴隷労働者として働かされている「海の奴隷」が数万人存在するといわれています。彼らは「ゴースト」のようにほとんどその存在を知られておらず、過酷な労働を強いられ、雇い主からの暴力に日々怯えながら命をつないでいます。中には何とか奴隷漁船から逃れたものの、帰国するすべもなく離島で隠れ暮らす人々もいます。タイ人のNGO女性活動家パティマは、そのようなゴーストたちを故郷に連れて帰るため、仲間たちとともにインドネシア沖に向かいます。彼らは常に危険と隣り合わせの中、小船に乗って島々をめぐり、忘れ去られたゴーストたちを次々と探し出し、これまで5,000人以上を救出しました。数十年ぶりに故郷の家族と再会できた場面では、涙する参加者の方もいらっしゃいました。
日本の店頭でもよく見かけるツナ缶や冷凍エビ、ペットフードの缶詰などは、国内産よりも価格が安く、私たちも手に取ることが多いのではないでしょうか。それらの商品がゴーストたちの過酷な奴隷労働によるものかもしれないことをご存じだったでしょうか。
今回のびのびシネマに参加した皆さんは、その事実を知り言葉を失うほどの衝撃を受けたようです。それでも参加者の中には、自分にもできることがないか模索してみよう、そのような背景にある商品を購入しない選択ができるかもしれない、というような思いを持たれた方もいました。
奴隷労働による商品かどうかをスーパーの陳列棚の前で判断するのは難しいかもしれませんが、「これはいったいどこから来たのだろう」と問いかけることから始めてみてはいかがでしょうか。
いつもは活発な意見交換が行われるのびのびシネマですが、今回は皆さんの心の奥深くにメッセージが届き、参加者一人ひとりが静かにゴーストたちの心の声に耳を傾けていたようです。須永先生、参加者の皆様、ありがとうございました。



本作品の内容に含まれているSDGsの項目

 1:貧困をなくそう
10:人や国の不平等をなくそう
12:つくる責任、つかう責任
14:海の豊かさを守ろう
16:平和と公正をすべての人に